ラバーリーの刺繍布は、一つの模様の途中から糸の色が変わっていたりすることもある。
それは、各自の所有する限られた糸の中から刺繍を行うため。
ちぐはぐな配色ではあるが、作り手の生活に根付いた、人間味あふれる布。
彼女たちが現在のように多様な刺繍技術による表現を行うようになった根底には、もともと彼女たちが伝承してきた文様の存在がある。
ラバーリーは文字を持たない社会。
古代文明がそうであったように、文様は大部分で文字の代わりになる。
何代にも渡って母から娘へと伝えられた文様にはそれぞれの深い意味を含んでいる。