けものたちとの関係
「かかったから今から行こう」
ぬかるんだ山へ入っていくと、ずんぐりした泥まみれのイノシシがじいっとこちらを見ていました。罠にかかった足は折れ、よく見ると身体には他の雄と争った傷痕も残っていました。百戦錬磨のマタギたちはそんな状態から想像を巡らせます。
まもなく解体が始まりました。
ベテランのナイフは迷いなく動きます。僕も何度か参加しているので、少し捌いてみましたが、頭ではわかったつもりでも生の肉は勝手が違い初心者は手こずります。骨の形や筋肉繊維の方向を探りながらナイフを動かします。
子どもたちも目の前で見学しました。
解体しているうちに気持ちは「食」の方へと向かっている自分がいました。本音や建前など関係無く、いきものの死があることで僕が生きられています。植物も。
夕飯にはエネルギーの塊のようなイノシシのハートをいただきました。
(西山)