美しい世界
20代の頃、インドのヴリンダーバンという町で今にも死にそうなおばあちゃんが車で運ばれて行くのを見ました。おばあちゃんは震えながら「ハレクリシュナ…」と言いつづけ、両手を固く結びお祈りしていました。
その光景がずっと目に焼き付いています。
私は泣いていました。涙の理由はその時は分かりませんでした。死ぬかもしれない人を前に涙が出た、というだけだったのかなと思っていました。
今年の春からここで暮らし初めて、よくその時と似た感情が現れます。
田んぼで草取りしてるとカエルの親子が稲にしがみついていたり、飛ぶ鳥の羽ばたく音、ホタルがふわりとまるでこっちだよと誘っているように飛ぶこと、動物たちの眼差し、稲刈りの匂い、星空、獣たちの鳴き声、マタギたちの手。
美しさを感じることがたくさんあって、たまに胸がきゅーんとする。
インドのおばあちゃんの時も、私は「美しい」と思ったのだと。
死を前に祈るおばあちゃんの姿は美しかった。
年の瀬にそんなことを考えながら過ごしています。
そして、美しい世界をみたい、と思いながら私は生きている。そんな気がします。
もちろん、その世界は自分で生み出すこともできる。
お米をつくることもそのひとつです。
今年、yattraのお米をお買い上げくださったみなさま、本当に感謝しております。このように評価してくださる方がいることはとても力になります。来年もお米つくりに励むことができそうです。
ありがとうございます!
2021年がみなさまにとって幸せな年でありますように。
(薫子)