しましまのストーリー ―インド更紗などなど―
「旅する布yattra」は、年末年始にインドを旅しました。
乾燥地帯のラジャスタンや、
パキスタンとの国境寄りの身元チェックが厳しい場所、
名前の通りヒマラヤを臨むヒマーチャルプラデーシュ。
ちょうど北インドは冬で、しかも寒波がやってきたところでした。
広い大地をほとんどバス移動。
夜行寝台バスは、夜中になると身動きもとれないほど冷え込んで、
これはどう考えても大きくて薄い窓ガラスからの冷気によるものだということで、
鞄や着ていない服を窓に押しつけ、それでも足りないときは窓に新聞紙を貼ったりもしました。
申し遅れましたが、インドでは暖房設備はほんとに希少なもので、
寒さの分だけ毛布を重ねて被る、ここの人たちは皆このスタイルでやり過ごしています。
そんなわけで、かなり冷え込んでいるときなんかは、毛布だけでかなりの重さになるのです。
僕たちも堪りかねて、旅の途中で布団を購入するという、初めての経験をしました。
今回、木版更紗などの製造現場をいくつか見て感じたのは、
布やテキスタイルの作り手、これらはいま興味深い時代を迎えているのではないか、ということ。
近年、古典的な技術者は激減し、よりスピーディでローコストの製品が主となっています。
多くの場合、それはネガティヴな要素としてのみ語られます。
しかし、伝統的な部分を踏襲しつつ、新たな道を切り開こうとしている人も確かに存在しています。
今回の旅でそういった仕事の一端に触れることもでき、ハンドブロックプリントをはじめ素敵な布にも出会いました。
実際に触れることで、それぞれの布が持つ魅力を体感していただける、そんな展示会にしたいと思っております。