yattraブログ

島根県の中山間地域でヤギやウコッケイたちと持続可能な農的暮らしをはじめました。無農薬のお米や野菜をつくっています。

一日の生をいきる

 11月3日に産まれてきたヤギの女の子、はんなが翌日の夜、旅立ちました。
 
僕たちの前に突然誕生してきて、ほんとに短すぎる時間だったけど、たくさんたくさんのことを残して、旅立っていきました。
 
はんなは、小さな小さな体で産まれてきてからずっと一生懸命いきようとしていました。大きな声で鳴き、家族みんなの歓声の中、ぐらぐらしながらもほとんど立ち上がるところまでできました。
 
その姿を見ていると、母ちゃんのお乳を思う存分飲んだり、おいしいものを食べたり、みんなで遊んだり、美しい世界を見たり、そんなことがもうすぐできると思っていました。
でも、少しずつ容態が変わっていくはんなに、僕たちは見守り、声をかけ、身体をあたため擦ることくらいしかできませんでした。
 
夕方、母と双子の弟ぶんに会わせ、家に入ったはんなは涙を流してこちらを見ていました。そして少し声を聴かせてくれました。お乳を飲むような口をして。
しばらく動けなかった身体を、最期、ぐうっと伸びして、
隣の部屋からやってきた、子どものにぎやかな声を聴きながら静かに眠るように息をひきとりました。とても綺麗な体で産まれ、柔らかく綺麗な体のまま。
 
思えばキキがうちに来て5か月間、はんなはキキ母のお腹のなかで僕たちの声を聞いてくれてたのかな。「にぎやかな人たちだなあ、どんな人たちだろう、ちょっと見てみよう」と出てきてくれたのかな。
 
はんなは、キキが好きでよく食べていた桃の木の下で眠っています。そこからはキキとぶんの姿も、集まってくる鳥たちも花も、子どもたちが遊ぶ様子も、僕たちの畑仕事も見渡せます。
 
たくさんたくさんがんばったね、ゆっくり休んで。ありがとう。
いつかまた逢おう。

はんな、一日の生をいきる