yattraブログ

島根県の中山間地域でヤギやウコッケイたちと持続可能な農的暮らしをはじめました。無農薬のお米や野菜をつくっています。

美しい世界

 20代の頃、インドのヴリンダーバンという町で今にも死にそうなおばあちゃんが車で運ばれて行くのを見ました。おばあちゃんは震えながら「ハレクリシュナ…」と言いつづけ、両手を固く結びお祈りしていました。
 
その光景がずっと目に焼き付いています。
 
私は泣いていました。涙の理由はその時は分かりませんでした。死ぬかもしれない人を前に涙が出た、というだけだったのかなと思っていました。
 
今年の春からここで暮らし初めて、よくその時と似た感情が現れます。
 
田んぼで草取りしてるとカエルの親子が稲にしがみついていたり、飛ぶ鳥の羽ばたく音、ホタルがふわりとまるでこっちだよと誘っているように飛ぶこと、動物たちの眼差し、稲刈りの匂い、星空、獣たちの鳴き声、マタギたちの手。
美しさを感じることがたくさんあって、たまに胸がきゅーんとする。
 
インドのおばあちゃんの時も、私は「美しい」と思ったのだと。
死を前に祈るおばあちゃんの姿は美しかった。
年の瀬にそんなことを考えながら過ごしています。
 
そして、美しい世界をみたい、と思いながら私は生きている。そんな気がします。
もちろん、その世界は自分で生み出すこともできる。
お米をつくることもそのひとつです。
 
今年、yattraのお米をお買い上げくださったみなさま、本当に感謝しております。このように評価してくださる方がいることはとても力になります。来年もお米つくりに励むことができそうです。
 
ありがとうございます!
2021年がみなさまにとって幸せな年でありますように。
(薫子)

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けものたちとの関係

中山間地域で暮らしていると、望まずとも獣たちと切っても切れない関係を結ぶことになります。
 
先日、そよとニワトリに朝食を持っていってると、近所の人がやって来ました。
 
「かかったから今から行こう」
 
ぬかるんだ山へ入っていくと、ずんぐりした泥まみれのイノシシがじいっとこちらを見ていました。罠にかかった足は折れ、よく見ると身体には他の雄と争った傷痕も残っていました。百戦錬磨のマタギたちはそんな状態から想像を巡らせます。

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まもなく解体が始まりました。
 
ベテランのナイフは迷いなく動きます。僕も何度か参加しているので、少し捌いてみましたが、頭ではわかったつもりでも生の肉は勝手が違い初心者は手こずります。骨の形や筋肉繊維の方向を探りながらナイフを動かします。
子どもたちも目の前で見学しました。
 
解体しているうちに気持ちは「食」の方へと向かっている自分がいました。本音や建前など関係無く、いきものの死があることで僕が生きられています。植物も。
 
夕飯にはエネルギーの塊のようなイノシシのハートをいただきました。
(西山)

おもちつきとピヨコの誕生

おもちつきというのは、、いつも、なんて楽しいんだ!

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つくったものやできたものを交換するのもとても楽しい。抜きたて大根を30本いただいき、つきたておもちを持っていく。
 
沢庵にすべく大根を丁寧に洗い藁で縛っていると、そよが駆けてきた。
 
「しっぽ全然無い子(子どもたちが名付けた烏骨鶏)のとこからピヨコが産まれてるー!」

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ここで今日新たに2つのいのちが誕生した。
二羽の母さん鶏はひきつづき計20個の卵を抱えている。
(西山)

みんなでわけて心をひとつにする

朝の植物は輝いている。おひさまの到来を喜んでいる。そのなかを歩くのが好きだ。
 
いくつかの野菜を慎重に摘み、家のまるい食卓に並べる。いま幸いにも、わが家の食卓の大部分を自給できている。
 

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種をまき、各々の表情を見て、それらが表現していることに僕たちが応える。そして、育ったもののいのちをいただくことで自分が生きてゆける。
 
家族が食べる分と、あともう少しの野菜とお米。それでキキとぶんとニワトリたちも生きてゆける。みんなでわけて心をひとつにする。
 

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みかんもたくさん実ってくれて、みかんの美味しさに驚く。子どもたちが名付けたオバケみかんを食べるのは来月かな。
冬仕事に向けて、yattra米を使った麹仕込みも始まった。
 

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令和2年度産のyattra米、もう少し余裕がありますので、ひきつづき販売しております!
5㎏ 2,800円(+送料)
10㎏ 5,500円(+送料)
20㎏ 11,000円(送料込み) *2回目からの20㎏ 10,500円(送料込み)
・玄米・八分つき・五分つき・白米よりお選びください。※精米は無料です。
・ご注文方法:メール yattra_textile@yahoo.co.jp、またはfacebookのメッセージへ
「お名前」「お届け先」「ご連絡先」「ご希望の分量と精米」
をご連絡ください。

 

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食べるとき、味はもちろん大切、その他にもこのお米の背景や景色も想像してくださる方もいらっしゃるなんて、僕たちはほんとうにしあわせものです。
(西山)

こうやって抱っこできるのはいつまでだろう

 双子の男の子、ぶんが産まれて2週間が経ちました。

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毎日飛び跳ねたり、ダッシュしたり、アグレッシブやなーと思いきや突然コロッと寝たり。キキも穏やか。
最近では母を真似て草を咥えるようになりました。

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こうやって抱っこできるのはいつまでだろう。
いまをせいいっぱい愛す。
 

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一日の生をいきる

 11月3日に産まれてきたヤギの女の子、はんなが翌日の夜、旅立ちました。
 
僕たちの前に突然誕生してきて、ほんとに短すぎる時間だったけど、たくさんたくさんのことを残して、旅立っていきました。
 
はんなは、小さな小さな体で産まれてきてからずっと一生懸命いきようとしていました。大きな声で鳴き、家族みんなの歓声の中、ぐらぐらしながらもほとんど立ち上がるところまでできました。
 
その姿を見ていると、母ちゃんのお乳を思う存分飲んだり、おいしいものを食べたり、みんなで遊んだり、美しい世界を見たり、そんなことがもうすぐできると思っていました。
でも、少しずつ容態が変わっていくはんなに、僕たちは見守り、声をかけ、身体をあたため擦ることくらいしかできませんでした。
 
夕方、母と双子の弟ぶんに会わせ、家に入ったはんなは涙を流してこちらを見ていました。そして少し声を聴かせてくれました。お乳を飲むような口をして。
しばらく動けなかった身体を、最期、ぐうっと伸びして、
隣の部屋からやってきた、子どものにぎやかな声を聴きながら静かに眠るように息をひきとりました。とても綺麗な体で産まれ、柔らかく綺麗な体のまま。
 
思えばキキがうちに来て5か月間、はんなはキキ母のお腹のなかで僕たちの声を聞いてくれてたのかな。「にぎやかな人たちだなあ、どんな人たちだろう、ちょっと見てみよう」と出てきてくれたのかな。
 
はんなは、キキが好きでよく食べていた桃の木の下で眠っています。そこからはキキとぶんの姿も、集まってくる鳥たちも花も、子どもたちが遊ぶ様子も、僕たちの畑仕事も見渡せます。
 
たくさんたくさんがんばったね、ゆっくり休んで。ありがとう。
いつかまた逢おう。

はんな、一日の生をいきる

 

「文化」の日に誕生する

11月3日「文化の日
 
「文化ってなんだろう」その問いに答えてくれたのは、ヤギのキキでした。
 
昼ごはんを食べ、ちょっと休憩と思った矢先、妻に呼ばれました「キキコの様子がおかしい!」
さっきまでオクラとサラダ菜の葉っぱを頬張っていたキキがいつもと違う体勢で横たわっていました。息が荒い。
 
見ると、なんだか赤ちゃんが産まれそうだ!
 
え??まさかキキが妊娠していたの!?
 
最近よく食べるからお腹が膨らんでいるんだろうな、でもおっぱいも膨らんでいるような、、とは思っていたのですが、まさか。。
 
どうやらうちに来る前に妊娠していたようです。
 
ちょうど昨日、妻と出産やヤギの子どもの話をしていたところでした。こんなことほんとにあるんだな。
 
家族みんな驚きを隠せぬまま固唾を飲んで出産を見守りました。。
 
キキは男女の双子を産んでくれました。ほんとにがんばりました。

はんなが産まれる!

後に産まれた男の子は、じきに立ち上がりお乳を飲みはじめました。

男の子ぶん

でも最初に産まれた女の子は未熟児で、立ち上がることができずキキコも構わなくなったためすぐに家の中に入れて温めました。初乳は母のお乳を搾ってあげることができましたが、今後のことも考えて哺乳瓶と粉ミルクも急いで買ってきました。

はんなを家の中へ

精一杯大きな声をだして立ち上がろうとするけどなかなか立てず、上手に飲めないけど一生懸命がんばっています。夜、ちっちゃなうんちとおしっこもできました。
 
女の子は「はんな」、男の子は「ぶん」
かことそよが名付けました。

突然の出来事でしたが、ほんとに感動しています。
いまはただただはんなとぶんが無事に育ってほしい。
キキありがとう。これが文化だね。
(西山)

循環するお米つくり

 稲刈りを終えほっとひと息つきたいところですが、なんとまあ来年のお米つくりはもう始まっているというのです!
 
田んぼは一年毎にリセットされるのではなく、ループしているのです。
循環。
 
「今日は時間がないな」「今日はちょっと遊びにいきたいな」そんなこと言って後回しや大雑把にしてると、、田んぼは正直で、少しずつツケが回ってきて、結果作業がしんどくなり、お米の出来にも繋がってくるのです。無情にも人のご機嫌には合わせてくれません。。飽くまで植物と微生物と自然のペース。ただ上手くいったときのよろこびは素晴らしく豊かなものがあります。
 
耕運機の上から彼女たちはどんな景色を見たのだろう。
 

彼女たちはどんな景色を見たのだろう

最初の卵

 先日、烏骨鶏が初めての卵を産みました。
 
うちにやってきたときはちっちゃかった彼女たちも気づけばお母さんより大きくなりました。
 
いつも食べているのは、市販の配合飼料ではなく、家やご近所の玄米、米ぬか、草、野菜くず、油粕、蛎殻、ごく稀に魚のアラや虫やミミズ。
幸いなことに、家とその近くで採れるものでほとんどがまかなえています。粗飼料だけどみんな元気に育ってくれてます。
 

ニワトリの最初の卵は貴重だと言われています。しかもこれらは有精卵でした。
 
彼女たちもいつも星空を見上げてるのかな、天の川模様の卵たちは、子どもたちが卵かけごはんでいただきました。

烏骨鶏、最初の卵

*その後、子どもたちは出産の場面に立ち会ったり、産まれて10分ほどのまだあたたかい卵を食べたり、ここ一週間で貴重な経験をしています。

岡崎ワンダーマーケット

 「この日は左京ワンダーに行くからちょっとそっちに寄れそうにないわ」

 

もういつのことだったかも忘れたけど、僕たちが左京区に住む前、誰かを何かに誘ったときにこう言われました。

 

「左京ワンダーって何?」

当時の僕は知らなかったのです。

 

左京区の大学に通っていた彼女(妻)に尋ねると、いつものように詳しくは語らず、こんな表現で教えてくれました。

「左京ワンダーと被ってたら仕方ないな」

 

一体どんなイベントなんだろう。。

 

それから数年後、左京区で暮らすことになり、どういう経緯かは覚えてませんが、左京ワンダーに足を運びました。

 

そこには日本とは思えないような景色が広がっていました。

まさしくワンダーランド。(これをワンダーランドと名付けた人はすごいな)

それまでは僕の中では「ワンダーランド」と言えば、幼いころ両親に連れて行ってもらった、オーバーオールを着たウサギのキャラクターのいる遊園地でしたが、この日を境にイメージが刷新されました。

 

それからしばらくして「やまのは」さんが声をかけてくださり、ついにyattraはワンダーランドに出店することになりました。

思い出してみても楽しいことばかりです。まれに子どもが迷子になりかけるようなトラブルらしきこともありましたが、すぐに小檜山さんが発見してくれたり。みんなが優しい目で見てくれているのだな、だからこそ僕たちはつづけられているように思います。

ほんと毎回いろんなことが起こるイベントです。

オープンな気持ちをもっていればきっと誰のところにもワンダーがやってくるでしょう。

 

僕たちは店を出していますが、ワンダーは物を販売する場所というよりも、出逢いと再会と交流がぎゅっと詰まった集いだと思っています。

 

今年、yattraは島根に移りましたが、左京ワンダーに出店します!

 

2020年10月24日(土) 10:00~16:00頃

場所は、平安神宮前の岡崎公園です。

 

農薬使わず育った新米と布をお持ちします!

 

半年ぶりの帰京。再会と新しい出逢いを楽しみにしております。

 

(西山)

 

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